東大生の小さい時の習い事にピアノを挙げる人が多いという。また幼児にさせたい習い事ランキングの上位にはピアノが常に鎮座していますね。ではなぜピアノに限らず、楽器を演奏することが幼児教育にいいのでしょう?
近年、高齢化している現代の悩みとして、痴呆症、つまりボケてしまう人がふえています。ここでやはり身体と脳と心への運動が必要だというのは簡単ですよね。
特に自分で楽器を演奏するという動作は、他のどんな所作よりも一番、脳への幅広い活性化がみられるとアメリカの実験研究で明らかにされています。
それなら国民全員が65歳を過ぎたらなにか一つ、なんでもいいので楽器を始めるのを推奨してはどうかと本気で思う。
実際、日本では楽器をする人はまだまだ少ない。いわゆるピアノなど私たちが思い浮かべるほとんどの楽器は所詮、西洋文化から来たもので日本の文化ではないから無理もないのですが。
楽器を始めるのに、ぶちあたる壁にはこう対処する(メンタル・費用・環境)
楽器を始めるのに腰を上げるのが重い理由と気軽に始められない理由?
・幼少期に楽器の経験がなく、一から楽譜を読めるようになるまでが大変・面倒
⇒初めから高いレベルの曲を弾けるようになることを目標にせず、易しく、好きな曲のシンプルなメロディーを弾けるようになることから目標にする。
正しく続けていれば、嫌でも上達するから。
・楽器やレッスン代が高い
⇒これは経済状況など人それぞれだろうから、できる範囲でやればいい。ピアノ・バイオリンやフルートなど、中古で手に入れてみるとか(あまりにも悪い粗悪品はだめ、続けるのが嫌になってしまう)初心者モデルものでやってみる、誰かに譲ってもらうとか、いろいろな方法がある。
レッスン代についても、正しくレベルの高いところを目指すにはそれなりに経験を積んだ人気の先生に見てもらうのが理想だが、レッスン代もそれなりにする。
そこについてはきりがないけれど、そういう先生でも単発レッスンを受け付けていたり、またカルチャークラスや個人で比較的良心的にやっているところもあるので、そこを探してみる。
・マンションなど音出しできる環境がない
⇒日本にはありがたいことにカラオケ店という場所が、そこかしこに身近な娯楽施設としてある。カラオケは日本が発祥の地で、日本の代表的な娯楽のひとつなのだ。当然、ドイツやヨーロッパにはほとんどない。
一時間、数百円で借りれるし、防音もしっかりされているところも多いはず。カラオケ機の電源を消して練習すればよいし、趣味でやるには1時間もあれば十分です。
ピアノなど移動できない楽器は、市や区の公民館の音楽室のようなところも安く借りれるので利用する。
・楽器を演奏するなど自分には無理だと思っている
⇒目標が高すぎると挫折する。好きなことができるだけでも嬉しいじゃない?それで脳のアンチエイジングもでき、心も充実するのだから。
・CDや楽譜が高くて買えない or 手に入れられない
⇒CDやDVDは図書館でいくらでも無料で借りれるし、楽譜もネットでお金をかけないで印刷できる。ドイツでは公営の図書館に、楽譜までおいてあり、当然タダで借りれるのでうらやましい限り。
ざっと挙げてこんなところ。
ドイツの音楽教育システムの違い
ドイツもとよりヨーロッパでは、日本と教育スタイルが異なるのだが、ここではドイツの教育システムに照らし合わせて考えてみます。
日本の小・中・高校教育は、幅広く浅くといった教育システムの印象だが、ドイツは違う。ギムナジウムといういわゆるお勉強中心の学校に加えて、それぞれ別に音楽やサッカーなどといった専門学校みたいなところを自分で選択し、並行して通うのが一般的。
小さい時から楽器のみならず、音楽の基礎(ソルフェージュや楽典など)も学べるなんて、なんて羨ましい環境・・・!
また町の中心には徒歩圏内に必ず、文化ホールがあり格安のチケットで良質な演奏を聴ける。時には一流の演奏家やオーケストラの演奏まで気軽に聴けるので、国民にクラシックが浸透するのはなるほどと思わずにいられない。
前置きが長くなりましたが、いよいよ本題です。
楽器を演奏することで生涯にわたって得られるメリット
◆楽譜を読むことで、その情報を視覚から脳を通して、指をコントロールするという一連の動作が身体をフルに使っている証拠。そのためまず呆けることはないと思っていい。そのため、勉強もできるなどよい影響を与える。
実際、多くの芸術家は亡くなる前まで元気で長命な人が多い。
◆ギリシャ時代は、もともと音楽は数学的な学問の一部だった。音を扱う・聴くことは色彩的・立体的・空間的感覚が磨かれる。
◆音感が磨かれるので、特に英語などの語学の上達に良い効果をうむ。
◆音には、心の情感へダイレクトに伝わる力をもっているため浄化作用がある。
◆自分で演奏することは、ひとつの立派な自分の表現方法。
◆人間は暇な時間を多く持て余すなど、何もしないとマイナス思考に陥る。そんな時に楽器を演奏する時間を持つことで、生涯にわたって音楽はよき友達になってくれる。
◆ある程度上達すれば自分の演奏で人を楽しませ、癒すこともできる。
◆合奏など他の人と音楽を合わせることで、魂のレベルで交流できる。
◆心が豊かになる。満たされた気持ちになる。
音楽はある意味、世界共通用語。音は空気の振動で波動となって伝わるので、人類だけでなく動物やこの世の生きとし生けるものすべてに影響する。しかも深くメッセージを伝えることのできる手段である。と話は大きくなりましたが…
とにかく、いいことを挙げればきりがないくらい。目に見えない「音」にはまだまだ未知の域が存在します。
この西洋音楽が人類にはっきりとした形で誕生してからまだ4~500年ほどですが、この間に培われた人類の知恵・宝庫のひとつの音楽文化を存分に楽しまないのは、もったいなさすぎる。
是非、こどもの興味の持てる範囲で、楽器を習わせてみるのを強くオススメしますよ^^
そして子供だけではなく大人も70代になってから始めるよりは、60代、50代と早ければ早いほど良いです。老後の自分の時間をどう過ごすかと考えるようになった時に過去に楽器の経験があるということは、たやすく始めるきっかけになるはずですから。
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